大英語圏

大英語圏 / Great Anglosphere

21世紀の普遍言語


概要


現在の英語ほど世界中に広まった言語はない。どの大陸にも、英語を母語にする人々がいて、どの大陸にも、英語を公用語にする国がある。英語を使う人々の総人口は20億人。科学出版の分野における英語は、明らかに共通語として用いられている。2001年、科学論文の90パーセントは英語で書かれ、占有率で2パーセントを超える言語はほかになかった。

 

このような成功は、言語としての英語の特徴とは関係がない。すべては、産業革命や通信革命を含む数世紀のあいだ、イギリスとアメリカが握り続けてきた世界的覇権の賜物なのだ。いったん固定化された状況は、終わらせるのがむずかしい。

 

またいくら中国が台頭しても、今後数十年間に中国語が広まる可能性は低い。中国語の普及を阻む大きな理由は、表意文字を使った筆記システムに求められる。基本的な文章を理解するためには、苦労して三千から四千の漢字を憶える必要があり、もっと複雑な文章の場合、記憶すべき漢字の数はもっと増える。中国語の人気は高まっていくだろうが、爆発的な人気にならず、英語と張り合うことも、ましてや英語にとってかわることもないだろう。

 

ヒンディー語もインドの人口増加とともに伸びるだろうが、現時点では国内の共通語にさえなっていない。しかもエリート層は英語を好む。中国語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語などの第二言語群は、その地域の少数言語を滅ぼしながら、地域的な優位性を高めていくだろう。

 

大英帝国の支配下にあった主要都市(ロンドン、ドバイ、インドのバンガロール、シンガポール、オーストラリア)をつないだ世界都市のネットワーク「ユニオンジャックの矢」というのがある。ロンドンは、シンガポールがASEANの窓口となっていることに着目し、その人の流れをロンドンに取り組むことで、ロンドンをアジアと欧州につなぐゲートウェイにしよう考えたもので、このユニオンジャックの矢内で使用される言語は当然英語である。

 

英語支配を脅かすものがひとつある。それはコンピュータである。コンピュータによる翻訳能力は飛躍的に上昇し、外国語学習をペン習字のように時代遅れのものにするが、現在のところその徴候は見られない。

青色が英語圏。水色が旧大英帝国圏で英語が通じやすい場所。
青色が英語圏。水色が旧大英帝国圏で英語が通じやすい場所。