世界史40 アメリカ帝国5「大日本帝国の敗戦」

そしてアメリカは無傷で残った



1943年中頃には、連合軍は枢軸国の進出を抑えきっていた。1945年4月30日、ソ連軍が首都ベルリン郊外まで攻めてきたとき、ヒットラーは自殺。5月8日、ドイツ軍無条件降伏の知らせが伝わると、アメリカ国民は有頂天になって勝利を祝った。この日はVEデー(ヨーロッパで勝利の日)とされ、今でも毎年記念行事が行われている。


太平洋でも日本軍が敗退し、44年の夏にはアメリカ軍は太平洋の島々を占領し、10月にはマッカーサーがフィリピンに上陸した。45年3月には東京を爆撃し、8万もの民間人の死者を出した。沖縄も民間人10万を超す激しい戦闘の後、6月占領。このようにアメリカ軍の本土上陸が目前に迫っても、日本は降伏せず、降伏勧告にも応じなかった。


原爆は1940年からローズベルトが、アインシュタインやドイツから亡命した科学者の勧めによって研究開発させたものだった。研究は「マンハッタン計画」の名の下に秘密裏に行われ、このために20億ドルと最高の科学者の頭脳が注ぎ込まれた。「現代アメリカ」の科学研究機関と政府、企業の協力体制は、ここでは消費者向けの新しい電化製品ではなく、戦争のための最新兵器を作り出した


結局、日本のコウフクは、8月6日の広島と9日の長崎における原子爆弾投下後の15日だった。第二次大戦は原爆投下とともに終わった。敗戦国も戦勝国も焦土と化し、国民は日々の食べ物にも事欠くほどすっかり疲弊した戦後の世界に、アメリカだけが無傷で残った


それどころか、戦時下に経済力をつけ、また、原爆という恐るべき破壊力を持つ武器を所有するアメリカは、世界における絶対的な強国だった。これからの世界は、アメリカの圧倒的な軍事力経済力の下に、自由と民主主義の理念とアメリカ的生活様式、つまりアメリカ帝国が支配するところとなるのでしょうか。


この点は何度も強調しておく必要があります。第二次世界大戦においてアメリカと連合軍が勝利したことで、ファシズムによる自由主義文明に対する最悪の挑戦が退けられたことは間違いないのです。第二次世界大戦は「倫理的な価値」があるという認識に勇気づけられた人は多かったにちがいありません。