ジャック・アタリ「危機とサバイバル」1

第一原則「自己の尊重」


自らが、自らの人生の主人公たれ。そして、生きる欲望を持ち、自己を尊重せよ。


まず、生き残ることを考える前に、生きる欲望を持つことである。そのためには自己を完全に意識し、自己嫌悪に陥ることなく、自らの境遇に重要性を付与せよ。楽観的であっても、悲観的であってもならない。その際、とくに危機のときには他者には何も期待できないと、肝に銘じておく必要がある。平時や世の中が好循環のときに、一般的に人は優しくなる。しかし、危機の際は、突如、冷たくなり何も相手してくれなくなる。まずは自分をあてにすべきである。


しかし一方で、同様に味方を見つけて、彼らが不安定なときや、場合によっては不誠実なときでも、彼らを守ってやることで、周囲から一目置かれる人物でなければならない。他人は、その人が自分自身を扱うのと同じようにその人も扱うものなので、自分に対する尊厳、自信を持たないものは、他人から尊敬されることはない。


「自己の尊重」には、自らの能力を最大限に活かすために自己を形成し、常に自己を改革し、自分が知っていることやできることに決して満足することなく、自らの存在意義の優れた部分をアピールすることが要求される。また自らの価値を明確にすることも要求される。つまり、自分が善や悪によって欲することは何か、妥協するつもりのないことは何かを知り、本質的な部分と付随的な部分を区別し、職業的な成功を目指すのか、あるいは私生活での成功を目指すのかを選択することである。ちなみに、職業的な成功と私生活での成功は必ずしも二者択一ではない。ようするに自分の人生にとって最も大切な要素を定義することである。


●重要な事

・不幸の中に幸せを見つけない態度

・何とか同情してもらう、慰めてもらおうと思わない。

・自分の弱点を把握し、自分の失敗を分析・理解すること