19.コスモポリタニズム

コスモポリタニズム / Cosmopolitanism

国境を超えた政治形態


概要


コスモポリタニズム(cosmopolitanism)とは、全世界の人々を自分の同胞ととらえる思想。世界市民主義・世界主義・四海同胞主義とも呼ばれる。コスモポリタニズムに賛同する人々をコスモポリタン(訳語は地球市民)と呼ぶ。

 

コスモポリタニズムの発展的・急進的形態として世界国家構想が挙げられる。これは「人種・言語の差を乗り越えた世界平和には全ての国家を統合した世界国家を建設すべきである」という考え方に立って主張されたものである。

 

過去において最もコスモポリタニズムを指向した国家はソビエト連邦ともいわれる。ロシア革命を起こしたボリシェヴィキは、ロシア革命を世界革命の発端として考えていた。しかし、ソ連が期待していた西欧諸国での革命は起こらず、ソ連もスターリンが実権を握った後は一国社会主義に傾き、コスモポリタニズム的な世界革命論を唱えたトロツキーは追放された。

ユダヤ人とコスモポリタニズム


世界を流浪するユダヤ人は、土着の政治、官僚、軍事機構などには入り込めなかった。そのため、自由業、つまり一匹狼として立身出世が望み、しかも社会で高く評価される職業としての経営者、医者、弁護士、ジャーナリストなどの分野にすさまじい進出を見せた。

 

ユダヤ人はそうした経済活動を国際的な規模で展開し、大量かつ安価で購買力のある大市場を求め開拓していったのである。彼らの目覚ましい経済的進出は、運命としての民族の離散、ディアスポロを背景としたグローバルな視野と世界を1つの大市場と見なした投資と商取引、そして正確な情報をいち早くにぎることによる即決商法が、彼らを成功へと導いっていったのである。

 

ユダヤ人のおおかたは、政治・経済・文化の中心である都市に集中して住むようになり、都市の民と化していたのであり、その豊かな経済的基盤を背景に、文化の中心地で高い教養を身につけ、多方面を傑出した業績を残すことになるのである。

 

ユダヤ人がゲーテに心酔した理由には、この巨匠の国民主義に偏らないコスモポリタン的な姿勢、なによりも個人の自由と知性、教養を信頼重視するという、超国家超民族主義的なゲーテの世界観にひかれたからであった。


ユダヤ人精神分析家ジクムント・フロイト自身も、自己の最大の拠り所をつねに、科学的知性による各民族、国家を超えた普遍的連帯に求めているが、とくにフロイトは、そのような思想が、「ユダヤ人であること」に由來していると語っている。