世界史10 封建社会の確立

ヨーロッパ階層社会の確立



中世ヨーロッパにおいて、教会は土地や財産を寄進された結果、富裕になった。のみならず教会は、封建的身分制を「神の秩序」とすることによって、これを固定化しようと躍起になる。


こうした宗教的、文化的、社会的勢力が背景にあったからこそ、ローマ教皇は傲然としてヨーロッパに君臨することができた。教皇の全盛期が封建制度の完成期と一致するのも、偶然ではない。そうして、教会の下に、国王・諸侯・騎士が大なり小なり荘園領主となった。


中世は、戦争・疫病・飢饉・貧困に絶え間なくおそわれた時代だった。そんな不安から身を守ろうと、元来の自由農民が自分たちの土地を有力者に寄託したのをきっかけに、だんだん人格の自由がなくなり、あげくに自由農民は農奴に転落した。このような経過は7、8世紀にはじまり、10世紀には完了し、西ヨーロッパ一円におよんだものと思われる。


人間関係では主君は家臣に封土をあたえ、保護を加える。そのかわりに、家臣は主君に忠誠をつくし、軍事的義務をおう。そういう双務関係におかれている。国王を頂点とし、諸侯・騎士・そして農民を底辺とするピラミッド型の階層社会ができた。階級的差別は厳然としていた。


現代人の中には、封建制度を諸悪の根源のように呪詛する向きがある。むろん、こんにちからみて否定されるべき面がある。けれども、混乱した社会に秩序と安定をもたらすことが、そもそも封建制度の目的だったのである。


封建制度のような厳しい枠がなかったならば、収拾がつかなかったといわれる。これはあくまで歴史的な問題で、モラルの問題ではない。両者を混同すると、おかしなことになる。封建悪というものがあるなら、封建美徳だってある。