世界史3 古代ギリシア

変化と自由



古代ギリシアの歴史や政治に見い出す現代における共通点は、何をおいても「変化と自由」である。彼らは地中海の東西にわたる海外発展によって先進文明にふれることによって、その通商貿易で経済生活をゆたかにした。経済の発展とともにポリス(都市国家)が発生した。ポリスで代表的なのがアテネとスパルタである。


政体の変化


アテネでは、まず王政に始まり、次いで貴族政治、金権政治、僭主政治、民主政治をへて衆愚政治に堕落していった。この政体の変遷経路は、まるで政治のひな形を見るようで興味深く、現代の民主主義社会でも見過ごすことはできない。

自由主義


このような政体変化の原因は、ポリスにおける市民の生活なしには理解することができないだろう。ポリスは小粒ながら、れっきとした主権国家であって、専制君主制ではない。現代のわれわれの社会と比較的似通っているところがある。市民は原則として自由平等である。


したがって彼らは皆、アメリカ人のように独立心がつよく、他の風下にたつことをいさぎよしとしない。あくまで自己の自由をまもり、個性をのばそうとする性質があるのが古代ギリシア人の特徴だ。

 

だがこういう、ポリスにおける個性と自由の尊重は、同時に短所となる部分もある。協調したり団結したりする気持ちにとぼしくなるのだ。その証拠にペルシア戦争のときにポリスの足並みがそろわなかった。かといって完全にバラバラにはなってはおらず、共通の民族意識・言語・風俗習慣をもち、オリンピックでは日頃の敵意を水にながして、一堂に介して技を競い連帯感を修復していた。

自己愛


また、ポリスのような自由意識の強烈な場所では、自然よりも人間性が尊ばれる。ギリシア文化はいたって人間中心である。神も擬人化され、恋もすれば、嫉妬に身をやく、争いもすれば、権謀術数も弄する。自己愛を「ナルシスム」というが、自己愛はギリシア文化の人間中心観から生まれたものである。自己愛は現代社会を見れば分かるように、21世紀において重要なキーワードとなる。

異なる2つの性格


ニーチェは、芸術がアポロ(元来、光明とか理知の神)的なものと、ディオニュソス(元来、酒とか陶酔の神)的なものと二重性によって進展する、といっている。ギリシア世界には、アポロ的芸術とディオニュソス的芸術とのあいだいに、巨大な対立がみとめられる。

 

二つの衝動は性格が異なっていながら、たがいに平行して進み、相互に刺激しあって、つねに新たな力強い作品の出産にはげむ、というわけである。そのような矛盾した性格の持ち主だからこそ、ギリシア人はひとをとらえてはなさないのである。