世界史2「ユダヤ教」

過去の伝承と未来における約束



紀元前6世紀から5世紀のころに、言語や宗教、あるいは国や都市の出現、さまざまな民族同士の戦争や侵略といったことが非常に複雑になり、それがある量まで達しはじめた。この時代に、ソクラテス、ブッダ、ユダヤ教、孔子などの世界の偉人たちが一斉に出現した。

 

人間の欲望や煩悩が、それまでとはちがう現実味をもって人間社会をおびやかしはじめ、それが臨界値に達していたのだという。そして、それをコントロールしていく新しい技術や方法が求められ始めたため、創発するようなかたちで世界各地で宗教家や哲学者が出現した。

 

そのなかでも、最も重要なのがユダヤ教である。当時、古代オリエント人は、どこも多神教を奉じていたが、そのうちイスラエル人だけが、ヤーヴェの「一神教」を信じめた。


ユダヤ教をはじめ多くの宗教は、物語を伝承しているだけでは足りず「未来」というものを考え始めた。ここで「預言」という手段が発生し、また「契約」という行為が発生した。ヤーヴェとユダヤ人との間で「契約」が結ばれ、未来においてユダヤ人に「イスラエル」という国を保証する「約束」だった。背景には、ユダヤ教が一神教を信仰しはじめたのは、バール信仰との対立や葛藤があったといわれる。


人類は、このときはじめて地上の未来が過去よりも素晴らしいものになると考え始めた。また、物質的に裕福になることが、神または神々に近づく方法であると考えられるようになった。こうした考えは西洋の理想として社会に根づいた。


この「預言」と「契約」が世界史的に重要になる。神と人間とが契約をむすぶと厳しい倫理性を帯びるようになった。また、ユダヤ教から一神教的世界観が誕生した。さらに、二分法と一神教の信仰により、バール信仰のようなものを「闇」として排除し、自分たちを「善」とする立場の確立ができ、民族の優劣を主張したり、多民族を差別するという「選民思想」という人間文化上の重大な問題が現れた。これは今日まで人類の問題として続いおり、今後も人類において問題となるだろう。

 

そしてかれらは、「乳と蜜の流るる地」カナーンに移って、神政王国をたて、ダビデ・ソロモン王のとき、全盛をきわめた。その後、イスラエルとユダに分裂し、イスラエルはアッシリアに、ユダが新バビロニアに滅ぼされた。しかし、結局、イスラエルは滅ぼされた。そのあと「メシア思想」が生まれた。次に「ディアスポラ(民族離散)」が発生した。しかしユダヤ人たちは、国をおわれ、世界中に離散し、弾圧されながらも文字や言語を統一し、ユダヤ教を確実に広げていった。