世界史1「人類の誕生」

移動社会から定住社会への移行



今をさる4、5万年前の旧石器時代に、われわれ人類と同じ種族に属する現世人類(クロマニヨン)が出現した。


彼らが器具の製法や生産技術において、格段の進歩を遂げた。また彼らだけが次世代に言語を使って、知識を継承しはじめた。また彼らは芸術製作も行い始めた。つまり人間の三大要素である「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」「ホモ・ファーベル(道具を使う人)」「ホモ・サピエンス(理性の人)」という特徴がこのとき現れ始めた。


3万年前、人類は、先祖と再会できる理想郷を突如として夢見始めた。まずは崇高で生命力あふれる存在である一神教というアイデアを思いついた。そして、それまでの食人習慣(カニバスム)は、宗教的いけにえの儀式にその座を譲り始め、タブー化されていった。


次に、火、風、大地、雨などの自然界の現象にしたがって、人類は少しずつ神というアイデアを、いくつかのカテゴリに分類するようになった。こうして原始的一神教から多神教が宗教の形式となり始めた。カテゴリ分類が始まると、所有権についても明確化され、言語も多様化し、掘っ建て小屋を建てる者、衣服を縫う者、石器を作る者、その他の道具や武器を作る者、狩猟する者、語る者、介護する者、祈祷をする者といった具合に分業が複雑化し始めた。


男性が女性を支配し、母親や姉妹は、兄弟や親類の責任下に置かれるようになりはじめた。掟ができたことで暴力に歯止めがかかった。グループ内で性的関係をもつことはなくなり、近親相姦が禁じられるようになった。

 

次に人類は、知恵を次世代に伝承するための時間を得て、人類の知識の伝承という欲求により、他の動物との差別化が図るようになった。人類が加工した物は、生き物と同様のものと認識され、奴隷・人質・女性を交換するように、加工したモノを等価のモノと交換し始めた。これが物々交換の始まりである。


旧石器時代が終わりをつげ、新石器時代が始まり気候が温暖となった。すると農耕や牧畜がおこった。農耕がはじまれば、土地に定住する必要があり、生活が安定しはじめた。しかし定住生活は集団生活をいとなむことになり、人間は「社会的動物」に変化した。こうして世界最古の農耕民族が、エジプトのナイル川流域、チグリスとユーフラテス川にはさまれたメソポタミア地方、インドのインダス川流域、中国の黄河流域にあらわれた。つまり、文明は狩猟民族ではなく農耕民族から発生したということである。彼らは灌漑の方法を学び、捕獲した野生動物を繁殖させ、穀物の種の最利用し、貯蔵庫にあまった食料を備蓄するようになった。こうして定住生活を確立した。そのためこれまでの旅の神様は格下げとなり、神聖さは大地を所有することになった

 

この時代に、文字も発明されて、記録が生じめた。知識の蓄積と伝承がさらに容易になった。こうして有史以前の無の状態から、はじめて人々の軌跡や王子の名前などが記録されるようになった。

 

こうした時代では、当然、器具も一段と精巧になる。打製石器のほかに磨製石器を用い、またさかんに土器がつくられた。金属器の使用がはじまった。金属器の使用は生産力を高め、貧富の差を生じ、氏族制度におけるような財産共有を打破した。その結果、支配と隷属の関係がおこり、階級の発生をうながした。ゆきつくところは「国家形成」である。待ちに待った人類の歴史時代の幕が開きはじめた。