12.スイス「最強小国」

スイス / Switzerland

最強の小国


概要


スイスは最強の小国といえる。世界からヒト、モノ、カネや企業、そして情報を呼び込む吸引力と、グローバル市場で勝てる競争力。このふたつの力をスイスはどちらも高水準で持っているのである。

 

とりわけスイスで重要なのは「ブランド戦略」である。セイコーやシチズンのようのひとつのブランド、ひとつの会社で多様な価格帯の製品を売ると、海外では高価格の製品でも高級ブランドとして認知されない。

 

そこでスウォッチ・グループは、保有している16ブランドを価格帯によって会社を分けるようにして、ブランドの価値を守っているのである。日本ではひとつの会社が高価格から低価格なものまで取り揃えてもあまり客は違和感を感じないが、一歩海外に出れば、価格帯によってブランド(会社)が異なっていなければならないのだ。

 

スイスの企業が強いのは、1点目は「国が企業を支援しないこと」である。スイスには企業に対する補助金のようなものはまったくない。またスイスは国内マーケットが小さいから、海外に出てグローバル化するしかない。自国マーケットでは生き延びることはできないので、外で成功するしかないのである。

 

2点目は「クラフトマンシップ(職人芸)」だ。スイスには大学が2校しかなく、大学進学率は3割に満たない。逆にいえば、国民の7割は職人か農民である。中学校から職能教育を始めれば20代なかばくらいにはエキスパートになる。もし、その産業が潰れても身につけた技術は別の産業で転用が利くので、一生、食べていけるのだ。

 

3点目は「移民」である。スイスでは移民が人口の3割りをしめている。移民が新しい産業を興し、その中で強くなった会社が世界に出て行って発展しているのである。

 

また、スイスには国家による社会保障はない。医療保険や年金は自分でかけなければいけない。それは個人の責任であり、国家の責任ではないからだとスイス人はいう。自分の老後を自分で面倒見るのは当たり前の話である。要するにスイスは民度が高いのである。

 

スイスは永世中立国ではあるが、永久平和国ではない。侵略者とは徹底的に戦う、国境を犯されたら必ず撃退するという決意を持っている国である。だから、国民皆兵を憲法で定めて徴兵制度を採用している。いざというときは民兵となって侵略者に全員で立ち向かう、国を守るという覚悟をもっている(そのため、各家庭に自動小銃を保管している銃社会である。)(クオリティ国家という戦略 大前研一)

 

 

スポーツ利権


世界最大の興行であるサッカーは、未来のガバナンスに関する手本である。

 

国際サッカー連盟(FIFA)の本部はスイスのチューリヒにある。国際連盟のサッカーの分野での勢力は絶大である。FIFAはメディアがサッカーに注ぐ莫大な資金をすでに管理しているが、資金の管理体制が確立されているわけでもなく、その資金の使途についても不明瞭である。

 

FIFAは選手の禁止薬物使用を管理するFIFA独自の検査機関をもっているが、これはFIFAの意のままである。世界の果ての極小サッカークラブまでが、FIFAが本部のあるスイスから発令する。ごくわずかなルールの変更にもスイスからの命令に従う必要がある。

 

同様に、大きな国際スポーツ連盟についても事情は同じである。オリンピックについては語るまでもない。ちなみに国際オリンピック委員会の本部もスイスにある。



アート


ダダ(Dada)またはダダイスム(Dadaism)は20世紀初頭のヨーロッパの前衛芸術運動である。1916年にスイスのチューリヒで発生し、すぐにベルリンをはじめケルン、ハノヴァーなど世界中に広がった。

 

アール・ブリュットの総本山はスイスである。アール・ブリュットとは、フランス人画家ジャン・デュビュッフェが1945年に考案した概念であるが、デュビュフェの蒐集した作品は、スイスのローザンヌに建てられた「アール・ブリュット・コレクション」に収蔵されている。

 

「アート・バーゼル」はバーゼル、マイアミ・ビーチ、香港で毎年開催される世界最大の近代美術と現代美術のアートフェアであるが、バーゼルとはスイスの都市である。