11.ロスチャイルド「国際金融資本」

ロスチャイルド / Rothschild 


概要


ロスチャイルド一家は、マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドを始祖とする世界的な富豪一族。神聖ローマ帝国時代のヘッセン=カッセル方伯領の自由都市フランクフルトで暮らす宮廷ユダヤ人で、1760年代に銀行業を設立して成功した。


これまでの宮廷ユダヤ人と異なり、ロスチャイルドは遺産管理に成功したのが最大の特徴で、一族の繁栄の秘密の一端を明かせば、それは国境を超えた緊密な連携プレーであり、迅速な広域情報網である。始祖のマイヤーとその5人の息子を通じて、フランクフルトを中心に、ロンドン、パリ、ヴィネツィア、ナポリなどヨーロッパ各地にビジネスを拡大させて国際的な金融資本家にまで発展した。

 

19世紀にロスチャイルドの富は最高潮に達し、世界最大の民間富豪家となり、現歴史上においても最大の民間富豪家とみなされている。現在、財産が子孫を通じて何百と分割されたため、その富は現在は減っていると思われる。ロスチャイルド一族全体を含めて、少なくとも3500億ドルの資産を有していると推定されている。


現在、ロスチャイルド家が営む事業は主にM&Aのアドバイスを中心とした投資銀行業務と富裕層の資産運用を行うプライベート・バンキングが中心である。


URL:http://www.rothschild.com/

歴史的文脈と付加価値


ロスチャイルド家の物語は、一族の初代であるマイヤー・アムシェル(1743~1812)がフランクフルトで初めて金融業に手を染めたころに始まる。


1760年代、20歳のマイヤーは古いお金を商う古銭商を始める。マイヤーは少年のころユダヤ教の導師ラビについて中東、ヨーロッパの古い歴史や語学を勉強したことがあった。普通の人にはがらくたでしかない古銭を安く買い取ると、その知識を駆使して手書きのパンフレットを工夫して作っては顧客になりそうな人に郵送した。

 

古今の「お金の由来・歴史を語るマイヤーの口上」「歴史を語ることで付加価値をつける」こうした努力が貴族たちの関心を引きつけた。あの手この手で支配階層への接近をはかるうちに、フランクフルト地方の領主、ヘッセン・ハナウ家のヴィルヘルム公に古銭を売り込むチャンスをつかんだ。


社会混乱とチャンス


マイヤー・ロスチャイルドはいつも、「通りに血が流れているとき」「パニックや混乱のとき」「市場に悲嘆が満ちているとき」に買い(ロスチャイルド家は、ナポレオン戦争の大混乱の最中に投資をしていたわけで)、いつも「まだ早すぎる頃に」売ったという。熱狂が頂点に達するまでは待たなかったのだ。彼はいつも、いつ立ち去るべきかを心得ていて、全財産を持って適切な時期に立ち去っていたのだ。



国家財務管理


マイヤーには5人の息子たち、アムシェル、サロモン、ネイサン、カール、ヤコブ(後に改名してジェームズ)がいた。立派な青年に育ちつつあるこの5人に仕事を見習わせながら、マイヤーはドイツのヴィルヘルム9世のヨーロッパ最大の金庫管理業務に本格的に食い込んで利益を上げる構想を練った。ヴィルヘルム9世の資産は、当時、ヨーロッパ最大級といわれていた。

 

ドイツのヴィルヘルム9世は、傭兵ビジネスを展開していて、イギリスから傭兵代金を小切手で受け取っていた。そして、そのイギリスからの小切手をロスチャイルドは現金化しているだけだが、小切手をイギリスで購入する綿製品の支払いに直接使って商売すれば、単に現金化するより2倍、3倍の利益を生む、また現金化の手数料も安くすることができるから、ほかのドイツ大銀行との競争でも優位に立つと判断した。

 

そこで、マイヤーはまず長男のアムシェル、次男のサロモンをヴィルヘルムスホーへ宮殿に差し向けてサービスに努め、これまで以上に多額の小切手の現金化を回してくれるよう求めた。この作戦が見事に的中して、1789年から、ロスチャイルド商会は大銀行と肩を並べて正式な宮廷の金融機関に加えられた。


10年後、三男ネイサンをイギリスの繊維産業都市マンチェスターに送り込んだ。綿製品の買い付けに当たらせたのである。ドイツではパリでの革命の騒ぎで、流通が混乱し、必需品である綿製品はどこでも高騰していた。ここに目をつけたロスチャイルド商会はマンチェスターでこれまで以上に安く、大量に買い付けてドイツに直送し、莫大な利益を上げた。その過程で中間マージンを徹底的に圧縮するために、買い付けだけでなく、綿糸から染色のための藍の売買まで手がけて総合的な綿製品業者になった。


また、ネイサンは収入を株や債権に投資して回転させ、もうけた金で両替などの金融業にも手を広げていった。1804年、ネイサンはロンドンの金融街シティに姿を現した。ロスチャイルド家独特の国境を越えた金融ネットワークがいよいと動き出したのである。



情報収集


ロスチャイルドと情報技術についても注目したい。マイヤーは重要な手紙をイディッシュ語に暗号めいた約束事を組み合わせていた。ユダヤ人以外にはチンプンカンプンの内容の暗号文書である。この秘密保持の手法は、一族の間で近年まで続けられていた。

 

ナポレオンの最後の戦争になったワーテルローの戦いがロスチャイルドの今日の基盤となったほどの有名な情報戦である。ワーテルローで、もしナポレオンが勝てば、イギリスの命運は風前の灯となり、イギリスの国債は暴落して紙屑同然となる。反対にウェリントン将軍が勝てばイギリス国債は暴騰するだろう。イギリス中が天下分け目の戦いの行方を凝視していたとき、ロスチャイルド家の伝書鳩を使った国際情報網がいち早くナポレオンの敗北を知らせた。


しかしこのとき、取引所に姿を現したネイサンは買いに走らなかった。逆に売って出たのである。公債市場はネイサンが売りに出たのをみて「ウェリントンは敗れた」と誤解し、一緒になってイギリス国債を売りまくった。相場は暴落に暴落を続けた。そして、ワーテルロー勝利の真実のニュースがまさに広まろうとするとき、ネイサンは紙屑同然となった公債の買いに転じた。この情報戦術でネイサンは天文学的な数字の儲けを手にした。


情報は金、それこそがロスチャイルド家の武器であり、繁栄の秘密だった。ワーテルローの戦いでも威力を発揮したこの情報ネットワークは、神聖ローマ帝国に張り巡らされていた駅伝郵便組織を模倣して作ったものである。マイヤーが郵便組織に金融援助を行って取り入り、集まってくる情報を密かに入手するようになったのがそもそもの始まりといわれている。素早い情報はそのまま膨大な投機利益に直結する。


国の外交官の報告よりもロスチャイルド家の情報のほうが迅速かつ正確なことはだった。それだけでなくその巨富に裏打ちされたロスチャイルドの情報ネットワークは、途方も無い威力を発揮してヨーロッパの政治を動かすまでになってゆく。



金融操作


ロスチャイルドは、90年代に世界中を震撼させたヘッジファンドの原点ともいうべき存在である。莫大な資産を使った金融操作によって国家を震え上がらせた。

 

ナポレオン戦争後のウィーン会議で、旧勢力によるヨーロッパ支配体制が復活しはじめると、老舗の金融業者は旧体制と組んで、新興のユダヤ人金融業者であるロスチャイルド家を排除しようと画策し始めた。たとえばアーヘン会議でも参加国と名門銀行家たちがロスチャイルド家をのけものにしようと謀っていることを知った一族はついに堪忍袋の緒を切った。


会議に出席していた次男サロモンと四男のカールはヨーロッパ各地の兄弟にアーヘンの許されざる状況を報告して、極秘のうちに各市場でフランス公債を買い進み、一挙に売りに出た。ヨーロッパ各地でフランス公債が暴落して、各国代表がパニックに陥った。フランスの財政が破綻しては賠償金を取り立てるどころではない。これだけの相場を動かせるのは莫大な資産をもつあのロスチャイルドしかない。アーヘンに集まっていた各国首脳と銀行家たちはようやく事態の重大さに気づいた。


なんとか商談を持ちかけて怒りを解いてもらうと公債相場は次第に落ち着きを取り戻し始めた。こうして抹殺されようとしたロスチャイルド家は金融操作による逆襲に成功して、ユダヤ人でありながら神聖同盟の銀行ともいうべき不動の地位を築いた。



香港経済


中国経済を動かしているのは、香港である。香港から中国に行けば、上海や福健省など、いろいろな経済特区の名前は出てくるが、元はすべて香港にあり、そこから毎日「金」が行き来する。こうしてアジアの「金」の価格は、日本の兜町ではなく、香港が決めている。


香港経済は、実は昔も今も、ロスチャイルドの手のなかにある。麻薬で中国を支配したアヘン戦争時代からアヘン王のサッスーン家、つまりロスチャイルド家のサッスーン家が支配してきた。


大手金融のHSBCとは、「The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited」の頭文字であり、香港上海銀行のことだ。また、その香港上海銀行を傘下に持つ 英金融グループHSBCホールディングス(HSBC Holdings plc、匯豊控股)のことでもある。その設立は、1865年3月にさかのぼる。ユダヤ系イギリス人アーサー・サッスーン卿(ロスチャイルド一族のメンバー)によって、当時、イギリスの植民地であった香港で創設され、一ヵ月後には上海で営業を開始した。


サッスーン家は、中国だけでなく、日本の神戸でも長者番付に名前を連ねてきた。アヘン貿易商社の貿易金融(アヘン貿易で儲けた資金を安全かつ迅速にイギリスに送金することが主な業務)を扱い、1866年には日本支店も設立し、日本政府の金融顧問業務も行いました。サッスーン家は、関西貿易の黒幕である。そのサッスーン一族のローレンス・カドーリーが、これまで香港経済を握ってきたのである。


この一族が香港の電力財閥を形成し、核と原子力を握っていたため、中国が泰山原発と大亜湾原発の建設・稼動という危険な道に踏み込んでしまったのである。金融相場の「金」と、原子力の「ウラン」は、南アやオーストらリア、カナダ、アメリカに見られるように、ほとんど同じ鉱山業者によって独占されているからである。


アメリカやヨーロッパの経済がどれほど没落しようとも、この一族は図抜けた収益を記録し続け、それをスイス、香港、カリブ海という三大拠点の帳簿操作によって、帳簿から消してしまうのである。ロスチャイルド一家が金価格上昇ゲームをスタートさせた動機は、アメリカ・ヨーロッパ全体の経済不況や失業率上昇のほか、ロシアの利権を独占するためのロシア救済問題など、多くの危機を乗り切らねばならないという事情があったからである。