【作品解説】エリック・ホッファー「初めのこと今のこと」

最も古い人間と最も新しい人間の比較論


概要


「初めのこと、今のこと」(改題:エリック・ホッファーの人間とは何か)は1972年に刊行されたエリック・ホッファーの小論集。


最も古い人間である旧石器時代の人間と、最も新しい人間である現代都市の中に生きる人間とを比較し、人間という存在をホッファーなりに考察するのが本書の主題である。


そのため、本の構成はかなり特異な構造になっており、一章と二章は旧石器時代の生活や芸術について書かれているものの、三章以降は突然時代が跳躍して、現代アメリカ社会(20世紀)について書かれている。古代と現代との並列である。


そして、原始時代の話と現代の話を一緒に読んでいるうちに、次第に最も古い人間と最も新しい人間とが“生きる”という一点で、非常に近く親しい存在として結ばれていることが露わになってくる。ホッファーはそこに大変な感動を覚えるのだという。


たとえば「都市と農村」に関する考察だが、一般的には、農村から都市へ発展したと思われる事が多いが事実は逆だという。


農村は、最古の都市の生活に適応しえなかったドロップアウトした者が自由を求めてつくった都市郊外が村の原型であるという。村は都市社会で発生する人間の内なる自然の恐怖を克服するために開発された形態である。都市以前は洞窟を基盤として狩猟生活であって、農村から都市へ発展したのではないというのがホッファーの主張である。


では、なぜ農村を発明したのか。農村の発明の本質とは「発展しないこと」「変化しないこと」だという。つまり不安定な生活を抜け出すために、安定した農村の定住生活を発明したのだという。これを現代に置き換えると、ずっと先の未来のこともわかるかも知れない。



目次


第一章 遊びー人間のもっとも有用な行為

第二章 都市の誕生

第三章 都市と自然

第四章 社会的風土の傾斜

第五章 青年と中年

第六章 大衆の国アメリカ

第七章 時代精神

第八章 現代についての考察

第九章 変化という精神病院


訳注

訳者あとがき

-: 157ページ

出版社: 河出書房新社 (1972)

asin: b000j9h4p6

発売日: 1972

商品パッケージの寸法: 19.2 x 14.8 x 2 cm


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