【作品解説】エリック・ホッファー自伝 構想された真実

40歳までに遭遇した出来事のホッファーの回想録


概要


労働にはげみ余暇を読書と思索することを楽しんだ「沖仲士の哲学者」として知られるエリック・ホッファーの自伝。ホッファーが幼いころから自分の寿命だと考えていた40歳までに遭遇したさまざまな事件や人々を題材にした回想録である。


エリック・ホッファーは、1902年ニューヨークにドイツ系移民の子として生まれた。18歳のとき父親が死に完全孤独になる。


その後、ホッファーはカリフォルニアへ移動し、さまざまな職につき、1930年代を農業労働者として各地を放浪してすごした。大学の研究員に推薦され、定職についたこともあったが性に合わずすぐにやめてしまった。

 

哲学者としてのホッファーが分析・研究の対象としていたのは、おもに心理学、それも弱者の心理学である。本書「適応しえぬ者たち」の章において、ホッファーは、弱者が固有の自己嫌悪を放出する「生存競争よりはるかに強いエネルギー」こそが人間の運命を形作るうえで支配的な役割を果たす、また「弱者が生き残るだけでなく、時として強者に勝利する」人間独自の世界観を指摘した。

 

ただ、このようなホッファーの考えは、統計や資料をもとにして学術的形式で導きだされたものではない。同じ社会的弱者として長年過ごしてきたホッファー自身の内面を見つめることによって直観して書き出したものである。つまりエッセイであり、またこれこそがホッファーの思想の重要な面である。エリック・ホッファーはエッセイストなのである。

 

ホッファーがエッセイストであることは、モンテーニュの「エセー」との関連が深い。ホッファーに決定的な人生の影響を与えたモンテニューの「エセー」は、ホッファーの文体だけでなく思考のスタイルそのものを決定した。モンテーニュは、世界で初めて個としての人間そのものが世界に連なるものとして主題を展開した人物なのである。


目次


・失明、母、そして父の死

・子ども部屋から貧困街へ

・オレンジ売り

・運命の極点

・構想された真実

・休暇の終わり

・自殺未遂

・希望ではなく勇気

・サンディエゴへの途上で

・適応しえぬ者たち

・季節労働者キャンプ

・飼い主と犬の関係

・プルーン園にて

・柑橘類研究所

・モンテーニュの「エセー」

・怠け者ジョニーの話

・バークレーでの出会い

・ヘレンとの日々

・アンスレーのこと

・ストックトンからトレイシーへ

・羊飼いアブナーの末路

・農場主クンゼの遺書

・歴史について

・芸術家

・波止場へ

・幸福の瞬間

・許すということ


インタビュー

七十二歳のエリック・ホッファー シーラ・K・ジョンソン


訳者あとがき

単行本: 189ページ

出版社: 作品社 (2002/06)

ISBN-10: 4878934735

ISBN-13: 978-4878934735

発売日: 2002/06

商品パッケージの寸法: 19 X 13 X 2.2 CM


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